紫雲膏のこと

 これまでも何度か紫雲膏のことは書いてきましたが、今回は少し自慢話をします。例えば同じにぎり寿司でもお店によって味も値段も異なるように、紫雲膏もメーカーや販売店によってまったく違います。材料の良し悪し、製造法、使用量によって紫雲膏の品質が大きく変わります。

 紫雲膏はゴマ油・ミツロウ・当帰・紫根・豚脂を原料として造ります。

 ゴマ油は市販のものは焦げた色と匂い、そしてべたべたして肌ざわりが悪いです。逆に日本薬局方のゴマ油は精製し過ぎて無色透明で匂いもなく水のようで、ともに原料としては不適です。あれこれ探して見つけたのは東京新宿の小野田製油(03-3953-1688)のゴマ油です。ここのものは淡黄色で適度な粘度、そして香りが何よりも素晴らしい。江戸時代の文献ではゴマ油のことを香油と記してありますが、まさにそういうものを感じさせます。800gの缶入りが2つで3700円くらい。電話をすれば送ってくれるので興味のある方は料理につかっても最適です。

 当帰は大深当帰という最良品を多量に使います。現在の薬局製剤の使用量はゴマ油1リットルに60gですが良品を得るには200gが必要です。

 その他の紫根やミツロウなども研究し、昔に「紫雲膏材料の考察」として『漢方の臨床』誌に発表したこともあります。ですから当診療所で使用の紫雲膏は私の知るかぎり世界一と自慢できるものです。皆様で効果をご確認ください。