呼吸法

 フルートを30年以上も続けてます。長いだけで上手にはなりませんが腹式呼吸が身につきました。管楽器奏者は皆この腹式呼吸を使って演奏をします。ところが弦楽器奏者やピアニストも実は腹式呼吸をしているのです。息を出しながら音をだすと音楽に力がでてきます。そして休符のところで皆いっせきに息を吸います。息がぴったりの演奏とはこういうことでしょうか。

 演奏会の一番前で聴いてみると意識的な息の音がよくわかります。 これは音楽だけでなく、世の中すべてのことに当てはまります。息をはくときに緊張感があり、吸うときに弛緩します。書道家が息を吸いながら書いては書が活きません。武道家が相手にやられるときは息を吸うときです。初心者は呼吸を考えませんが、上手な人ほど呼吸をうまく利用しています。

 上海市立気功研究所の所長とお話する機会があり、気功の呼吸法も腹式呼吸とわかりました。彼は逆腹式呼吸と言っていましたが、管楽器奏者の方法と同じです。日本では丹田呼吸とも呼ばれていて昔から健康法としても有名です。息を吸うときにお腹をひっこめながら腰をふくらますのがこの呼吸法です。これは無意識ではできず、お腹にかなり力を入れないとできません。腰に手を当てて息を吸うと腰が膨らむのが逆腹式呼吸です。現代医学的にいうと、横隔膜を下げることで下腹を圧迫するので、下半身の巡りをよくし老化防止にもなります。 体の中で力をいれるのはお腹だけで上半身はまったく力がはいっていないのが理想体です。そうすると肩こりもありませんし、尿の出の勢いもよくなり足も軽くなります。

 世事万事にこの方法が通用するので、呼吸法はもっと考えなければならないでしょう。