健康食とは

 小麦・玄米・ニッキ・山椒・百合根・山芋・ウドなどは身近な食品ですが、漢方薬の原料としてもよく使います。桔梗・クチナシ・ミカンの皮・牡蠣の殻なども同様です。七味唐辛子の内容もほとんどが漢方薬の原料です。薬味ともいいますね。

 食品と薬の違いは偏りが少ないか大きいかの差です。よく体によい食べ物と、毎日のようにテレビで放映していますが、そんなものはありません。同じ食物でも食べる人の体質によって体によかったり、害になったりします。偏りの大きなもの、例えばお酒や香辛料は温める性質があるので多量に摂ると体内に熱がこもります。ですから普段お腹が冷えているような人には薬として利用でき、熱がこもっている人には害になります。

 お米は偏りが少ないので毎日食べても害はありません。ではなぜ偏りの少ない玄米を薬として使用できるかといいますと、自然のものには無数の成分が含まれ、多様な性質があり、その個性の一つを薬として利用するわけです。ですから玄米で体を悪くする人もいるわけです。

 何を食べればいいか、というのは個人差もあって一概にはいえませんが、各地の伝統食というものが、その気候風土にあったもっとも偏りの少ない食べ物であり、健康食といえます。テレビの健康知識に惑わされずに、ご先祖たちが人体実験を繰り返しながら築いてきた伝統食はもっと評価されるできものでしょう。