健康だと思っていても・・・

中国の医書の古典には「上工は未病を治す」という言葉があります。これは名医はまだ病気になっていない状態を治す、という意味です。病気になってから治すよりも、病気にならないようにすることが大切かと思います。病気になってしまうと治すには時間がかかり、そう簡単ではありません。ですからまだなっていない状態での治療が重要になってきます。こういう場合には漢方薬や鍼灸がむいています。

 病気でないのに薬を飲むというのは抵抗があるかもしれません。しかしながら鍼灸をするときに患者さんの体をさわると、ご自分では悪くないと思っているところでも治療者からみると悪いところが結構あります。漢方薬を合わせる際にもお腹の状態が非常に参考になりますが、現代医学の検査では異常がなくても、お腹に押さえて痛いところがあったり、硬いところがあると、漢方では病気としてとらえます。

 自覚症状がなく、普段健康だと思っていても検査でひっかかって驚く人がいるように、漢方独自の診察をすると不健康な方がいっぱいいます。

 車は車検があって定期的に調整していますね。部屋の掃除もやりますね。ところが自分の体の手入れはほとんどの人がまったくやっていません。車でも部屋でも、手入れをして大事に使えば非常に長持ちします。人の体も例外ではありません。

 「もう年だから」とか「運動不足だから」とかいわずに体にちょっとした手入れをするだけで、驚くほどよく活動できるようになります。漢方薬をおすすめします。また機会があれば鍼灸治療も併用されるほうがよいでしょう。