治療はあせらずに

 Sさんの初診は3年前。27歳のときです。三年間生理がなく、女性ホルモンの注射をしたときのみありました。その他不定愁訴がいろいろとあり、一年半も漢方薬を飲んでいたそうですが効果はなく結婚する自信もないとのことです。服薬後半年して注射せずに生理がきた、とうれしいお電話がありました。その後半年くらいで自然に毎月生理があるようになってきました。しかし生理痛がまだ激しいので服薬は必要です。そのうちに自信がでてきて一年前に結婚し、現在も続けていますが生理痛はだいぶ軽くなってきました。あともう少しでしょう。

 I さんの初診は5年前。当時33歳で幼児からのアトピー性皮膚炎のご相談でした。顔全体が赤く乾燥してゴワゴワとしています。他に生理不順もあり、三ヶ月間生理がないときもあるそうです。半年ほどして皮膚のほうはだいぶ落ち着いてきましたが、主治医から多嚢胞性卵巣症候群といわれ妊娠が難しいとの説明を受けました。しかし皮膚のコントロールと不妊症を考えた漢方薬を続けていると妊娠し無事出産できました。現在も疲れたり無理をすると皮膚の状態が悪くなるので服薬中です。成人型のアトピーは根治は難しいですが、赤みや痒みは漢方薬でかなりの改善が期待できます。続けていると他の病気の予防にもなるので、アトピーのおかげでいまでは普通の人よりも健康そうです。

 お二人とも数年間の服薬と現在も続いていますが、病気を治すというよりも悪くしない、ということが大切です。一生を通じて悪くしないで健康な状態を維持することが一番の健康法でしょう。