漢方の食養生

 体によい食物というと現代の栄養学で考えがちですが、漢方の立場からみると矛盾もたくさんあります。例えばニンニクは疲労回復によい、と誰でもご存じですが、漢方の目で見ますと、ニンニクは体を温める性質があります。ですから冷え性の体質の方には少量を食べると薬にもなりますが、逆に体温の高い方やクーラーが大好きな方には毒になります。香辛料も温性のものです。冷え性の方には体の新陳代謝を高めます。夏野菜は体を冷やすものが多いです。キュウリ・トマト・ナス・スイカ・トウガンなどは利尿作用があり、暑い時に適度に体を冷やしてくれて具合がよろしいですが。

 冷え性の人が食べ過ぎると悪いです。夏でも冷え性の相談にみえる方が体によいと思って果物を積極的に摂っていることがありますが、果物も体を冷やします。風邪にビタミンCということでミカンをたくさん食べるのは体を冷やし逆効果です。ジュースなどの水物も体を冷やします。

 暑いときに冷たい飲み物は非常においしく感じますが、後で体がだるくなることが多いです。冷たい物を消化吸収するのに暖めなければなりませんから体力をつかうわけです。ですから夏場でも体質に関係なく温かい物がよろしいです。冷蔵庫から出した物をすぐに口に入れるのはお腹がかわいそうです。果物やお茶も冷やす習慣がありますが、常温のほうがよいでしょう。

体を冷やす食べ物:スイカ・キュウリ・ナス・トマト・冬瓜・果物・お茶・生もの・冷たいもの

体を温める食べ物:香辛料・ニンニク・ニラ・ネギ・生姜・お酒・温かいもの